ある日の休み時間の事だった。
「さくらちゃん。どうしたの?元気ないね。」
一人の女の子が暗い顔をして、座り込んでいた。
その子の名前はさくらちゃん。
「まりせんせぇ……。」
「何かあったの?先生話してみて?」
「…これ……。」
さくらちゃんが私に見せたのは腕の取れ掛かったテディベアだった。
「……ママが天国に行く前にさくらにくれたの。さくらを守ってくれるお守りだって。でもさくら、こしちゃったよぉ〜うぅ〜。」
「大丈夫だよ?さくらちゃん。このくまさん、先生が直してあげる!だから泣かないで?」
「グスッ…うん。もう泣かない!まり先生!約束だよ!」
「うん。約束!」
ゆびきりげんまん。
子供は単純だって言うけれどそんなことない。
子供の心は敏感で繊細。
一人一人、違った思いを胸の中に秘めている。
わかってた。
わかってたはずなのに……。
自分のせいでさくらちゃんを傷つけてしまった……。