そして、その日曜日はやってきた。

直人と優宇の出かける日だ。

どうせ出かけるならと、直人は優宇を遊園地へ連れて行った。

沙子が苦手で一緒にいると乗れない、絶叫系に乗りたかったのも一つの理由だ。


優宇は遊園地が初めてらしく、お化け屋敷でもきゃーきゃー叫んだりととても反応がよく、連れてきた直人も気分がよかった。


そうやって、2人が楽しく過ごす頃、沙子は喫茶「Garden」の奥で無言で座っていた。

短針が回りゆくのを、横目で見ながら時を過ごす。
マスターが声をかけても返答はなかった。


カランコロン


店のドアベルとともに、直人と優宇が入ってきた。



「マスター!とっても楽しかったー。遊園地っていいね!あ、水族館も!」

「うん、楽しかったな」

2人が同時に言う。

絶叫系に思う存分乗れて満足する直人。

「聞いてくださいよ、マスター、優宇ったら反応がいちいち大げさで、遊園地の後で行った水族館でも、魚見てるだけで楽しそうでさー」


直人も優宇といて楽しかった模様。

そんな話をしていると、店の奥からがたっと椅子を動かす音が聞こえた。


「で、どうしたいのあなた達は」

朝からずっと店にいた沙子だ。強い口調で言う。

直人が焦って
「別にこれは今日だけの話で、俺は沙子が」

「嘘言わないでよ。そんな楽しそうな顔見たことない!そんな風に笑ってもらったことない!!」


「はいはい、みなさん落ち着いて話そうね」

マスター園原の穏やかな声が店を包んだ。