「美緒か。何だ?」
さっきの機嫌の悪さからは想像出来ない甘い声。
「ん、おはよ。もう9時だよ?虎も来てるし。」
そう言うとのっそり起き出す龍輝。
「チッ。休みの日まで何の用だよ。美緒、虎から貰った服あるだろ。それに着替えてこい」ベットから降りた龍輝がドアノブに手をかけながら言う。
私の服を見ると龍輝のTシャツ1枚で。下着はつけてるけど恥ずかしい格好で。
「っ、分かった。すぐに行くね。」と顔を赤くしながら言うと「虎の目潰してくる」極悪顔で言った龍輝に虎の危険を感じた。
虎のためにも早く着替えていこうと思い虎に貰った紙袋を開ける。
入っていたのは黒のワンピースと、毛皮の黒いコート。
コートは暑いから、ワンピースだけを着てコートを手にかけて部屋を出る。
部屋を出ると目に入ったのは目を抑えてうずくまっている虎と満足そうに煙草をふかす龍輝。
虎が心配で寄ると後ろから気に入らないらしい龍輝の舌打ちが聞こえたけど。
「大丈夫?」そう聞くと「うん、でもさっきのは効いたかなぁ~」いつも通りの間延びした声を聞いて大丈夫だと確信する。
龍輝の所へ戻ってソファにコートをかけていると龍輝が私の手を引っ張る。