私を抱いたまま病室を出て廊下を歩くもんだから、周りの人からの視線はハンパない。
「ねぇ!降ろして!すごい恥ずかしいんだけど!自分で歩ける!」
と抗議するも、
「うるせぇ。黙って抱かれとけ。」
と即黙らされた。
ホントに恥ずかしくて、龍輝の胸に顔を埋めていると頭の上から嬉しそうな笑い声が聞こえてきた。
結局、病院から出て車に乗り込むまで龍輝は私の事を降ろしてくれなかった。
車まで行くと、車にもたれかかって煙草を吸ってる金髪のイケメンがいて、私達を見て一瞬ビックリしていたけど、すごく綺麗な笑みで私に挨拶をした。
「初めまして、美緒ちゃん?俺は西条 虎。龍輝の右腕だよ。」

と見た目もチャラいけど挨拶もチャラく言ってきた。
「よろしくお願いします」と虎さんに笑いかけると、また聞こえてきた舌打ち。
虎さんと2人で苦笑いをこぼした。
それにも気付いた龍輝が私を抱いたまま、虎さんに蹴りを入れていて。
それに心配すると、私の気持ちに気づいたのか

「慣れてるから。」と言って笑っていた。
後から来た紅さんが車のドアを素早く開ける。その時邪魔だったのか、倒れていた虎さんを蹴っていたのは見なかったことにしよう。
病院から退院した私は何も持っていない。だから、その足で買い物に行くらしくて。