龍輝と2人でしゃべって笑っていると、ドアの向からノックの音がした。
龍輝がこの雰囲気を壊されたのが嫌らしくて、「チッ」と短く舌打ちをする。
ドアのむこうから、「紅です。」という淡々とした声が聞こえてきた。
それに龍輝は短く、入れと返事をする。
開いたドアから入ってきたのは身長の高い、顔がすごく整ってる無表情な人だった。
私がガン見しているのも気にせずに、紅と言う人は話し始める。
「美緒様の件です。今日退院してもよいと、院長からの伝えです。」
と短く要件を伝えると、紅は私の方に向き直る。
「初めまして。若姐さん。俺は若の側近させてもらってます、神崎 紅です。雑用でもなんでも頼んでくだせぇ。」
「よろしくお願いします。でも、私は若姐ではありません。美緒です、だから美緒って呼んでください。」
と笑いかけると、私の隣からチッという短い舌打ちが飛んできた。
隣を見るとすごく不機嫌そうな龍輝が。
どうやら私が男の人と笑っているのが気に食わないらしくて。
苦笑いして龍輝の頭を撫でると気持ちよさそうに目を細めた。


どうやら私は今日退院できるみたいで。
病院のベットから足をつけて降りると、私の身体はふわりと浮き上がった。
顔を上げるとすぐ近くに龍輝の顔があった。