路地を抜けてると、いつの間にか回された車があって、車の前には相変わらずのニヤケ顔と無表情な虎と紅がいた。
車に乗り込むと、2人も乗り込んできて虎が俺の腕の中にいる美緒を見て

「やっと見つけたんだぁ〜、それにしても女の子に対する扱い酷くなぁーいー?」
とか言うから、
「サツ呼んでたヤツがいたんだよ。クソ。それよりも病院に出せ。」
と美緒の髪の毛を梳きながら言うと、運転席から紅の「は。」と言う短い返事が返ってきた。

side虎
龍はやっと女を見つけた。アイツの女に対する感情はほぼ無いと言える。
その事は東山組が支配する街の女はみんな知ってて。
それでも龍に抱かれようと、常につきまとう。
そんな女達を完全無視して俺に任せるモンだから、大変なんだよなー。
そう思いながら、バックミラー越しに龍を見ると、今まで見たこともない優しい目で美緒ちゃんを見て髪を梳いてるんだから、苦笑いが漏れちゃうよね。
まぁ、これで俺の仕事は少し減るから美緒ちゃんに感謝だね。
そうこうする内に、病院に着いてドアを開けると、龍が美緒ちゃんを抱き上げて病院の中に消えて行った。
龍の警護は紅に任せて、俺は車にもたれかかってタバコに火をつけた。