知りたいか?というような拓也の顔を見て更にイラつく。

「もったいぶらねぇで、早く言え。」
と言うと、拓也はニヤリと口角を上げた。

「そいつは、訳ありだ。調べると九州から来たやつでなぁ。更に調べると、ソイツの父親が経営していた会社が潰れたらしい。そんで、潰した会社の後ろには佐野が付いてるって訳だぁ。若も佐野のする事はよぉ分かっとるやろ?案の定その女の家族は父と母は殺されたみたいやなぁ。姉もおるみたいやけど、どっかのキャバ嬢して金返しとるみたいや。独りになった女は佐野によって、家も売られた。そんで僅かな金でこっちに逃げてきたっちゅう訳や。」

「そんで、今その女は?」

「大阪の繁華街の近くにあるマン喫にずっとおる。なんとか日払いのバイトしてるみたいやなぁ。」
どうする?と続けて聞いてきた拓也に

「俺の女になるヤツや。手ぇ出すなや。すぐ迎えに行く。」
と睨みを効かせて言うと苦笑いで

「わかった」と言いながら電話をしに外へ出てく拓也の背中をずっと見ていた。