「おーい?なんだよ無視ー?」


続けて彼の声をきき

やっと我に返った



「あ、ごめんなさい。よろしく…おねがいします…。」



本能的に敬語になってしまう。



そもそも高校に入学してここ数ヶ月



まともに誰かと話したりはしてこなかった。




1学期は散々だったからな。



だめだめ!思い出しちゃ


忘れなきゃ…
そう。あんなの忘れなきゃ…。



「おーい?大丈夫?」


突然顔を近づけられ


一瞬びっくりしてしまい



「だ、だだだだ、大丈夫です!」




すると彼はぷっと吹き出し


「なんだよそのリアクション面白すぎ

あんた気に入ったよ、これから隣の席同士よろ

しくな"美歌"」


そう言いながら


満天の笑みを浮かべた彼に


不覚にもドキッとしてしまった自分がいた



でもこのときの私には


それがどおゆう気持ちなのか


正しく認識することはできなかった



違う。



正しく認識したくなかった。



無理矢理自分で認識しようとしなかったんだ。