「ほら、手、捕まりな?」
そう言って私に手を差し伸べてくれる夕暮くん
その笑顔と優しさに
心が和らぎ、自然と手を伸ばしていた
「ありがと…!」
私も夕暮くんの手に捕まりしっかり立つことができた
「美歌…手震えてるよ…?」
自分では震えてることさえわからなかった
でも手を掴んでいる夕暮くんには確かに伝わってしまったのだろう。
私が震えてることに
「ご、ごめん、大丈夫だから」
急いで手を離そうとしたところで
グイッと引っ張られて
突然夕暮くんの温もりを感じた
え、なにこれ。私夕暮くんに抱きしめられてる?
「あ…の。」
「ごめん、ちょっとだけ…こうさせて」
少しかすれたような、でも優しいそんな声で彼は私を
抱きしめいた。