Side 尊


待合室に向かうと、そこには遥香の姿がなかった。



何かあったのだろうか。


心配していると、千尋ちゃんと大翔君と一緒に遥香の姿がみえた。


よかった…。


「尊、遅くなっちゃってごめんね。」



「いや、謝らなくていいんだよ。大学で何かあった?」



遥香は、何か言いたそうな表情をしていた。



しかし、遥香は首を横に振った。



そんな遥香の様子をみていた大翔君が…。



「遥香、ちゃんと言わなきゃ…。」



「大翔、ここは2人にして私たちは先に帰ろう。遥香、また明日学校でね。」



「うん。ありがとう。」



「千尋ちゃん、大翔君ありがとう。」



2人が帰った後、俺はとりあえず遥香を談話室へ連れて行った。


ちょうど、診察も終わり最後の診察が遥香だった。



「遥香、何か話したいことがあるんだろう?」



大翔君も言っていたが、言われる前に遥香のよそよそしい姿から何かあったことくらいすぐに分かった。



「実はね、私が休んでいた間4教科分を2日間に分けて追試試験をしたいんだって…。


千尋や大翔も、私のテスト勉強助けてくれるって言ってたんだけど、追試試験って8割はとれないといけないでしょう?


今回の教科は苦手な分野で、点数が取れるか心配なの…。」



「そうか…。


いろんな教科が重なって今大変な時期だよな…。


俺も遥香のこと支えるから、一緒に頑張ってみよう。」



「ありがとう…。」





「無理に笑わなくていいって。



辛い時まで、笑わなくていい。



遥香、少しずつ勉強していこうな。


今までだってこうやって頑張って乗り越えてきたんだから。



頑張りすぎちゃうほど頑張り屋さんな遥香ならまたきっと乗り越えられるよ。」




俺はそう言うと、遥香を優しく抱き寄せた。



遥香は、安心したかのように俺の背中に腕を回してくれた。




「尊…。ありがとう。」



「いいんだよ。」




それから、診察の準備を始めた。




「じゃあ、診察始めるね。」



俺は、遥香から少し離れ診察を始めた。