職員室に向かうと、夏目先生と向かい合わせの形で座った。



「白石さん、体調の方は大丈夫かな?」



「最近は、喘息の発作が重く出ちゃってるって佐々木先生から言われてるんですけど、今のところは大丈夫です。


呼吸も前よりずっと楽にできています。」




「そっか。それならよかった。」




「それで、お話って。」





「あ、白石さん。前に1週間休んでたでしょう?



それで、テストの追試試験をしたくて。



期日が、来週の月曜日なんだけど…。」






私が休んでいる間にやった教科って、4教科くらいはあったっけ。






「夏目先生、それって4教科分一気にその日にやるってことですか?」





ただでさえ、休んでいた期間も長く授業をちゃんと受けられることが少なかったのに。



まだちゃんと授業内容も理解していない。





「一気にやることは、白石さんの体調にも負担がかかってしまうからってことで、2日間に分けてやることになった。



もちろん、白石さんの体調が第一だから体調面を考慮して、テストを受けることになると思う。



とりあえず、佐々木君に1回相談してみてもらえるかな。」




「わかりました。」




今日は診察の日だから、その時に相談してみようかな。





でも、来週ってことは割と時間もないよね。




「遥香、夏目先生からの話大丈夫だった?」





「うん。」




「その顔は、あんまり大丈夫じゃないよな。


さっき、何の話だったんだ?」





大翔は勘が鋭い。





「実は、先週のテストがあったでしょう?



その、追試試験のことの話だったの。



来週、追試試験受けられることになったんだけど、あまり期間もないし心配だなって思って…。



たしか、追試試験で受けるときは点数が8割にされるから最低でも80点はとらないといけないんだったよね。」





「そうだな…。テストの内容は覚えているけど、そのテスト通りに出るとは限らないから分からないよな…。



遥香、もしよかったらテスト勉強に使ったノート使う?」





「それなら、私のも使う?参考になるかわからないけど、先生がテストに出るよって言ったところだけをまとめたの。」





「千尋…。大翔…。本当にありがとう。


大切に使わせてもらうね。」





「いいって。



わかんないこととかあったらいつでも言ってよ。



って言っても遥香の方が頭いいし、理解も早いから大丈夫だとは思うけど、困ったときは遠慮せず言ってよね。」




「前から思ってたんだけど、大翔ってなんか遥香のお兄ちゃんみたい。」





「千尋だってそうでしょう?」




「まあね。遥香は私の可愛い妹みたいな感じだよね。」





「ふふ。」




私は、2人のやり取りに思わず吹き出してしまった。




幼馴染っていいよね。





いつも一緒にいるから、忘れかけちゃうけど何かあったときは助け合ったり、笑いあったりできる関係。




ずっと、2人と一緒にいられるように私もテスト頑張らないとね。




私たちは、いつもの帰りの電車に乗って、尊の診察を受けるために病院へ向かった。