尊の部屋に入ると、尊は優しく私を抱きしめた。



「遥香、体調の方は大丈夫か?」




自分も辛いのに相変わらず私の心配をしてくれるのは胸が苦しくなるくらい嬉しくて思わず尊を抱きしめる手に力がこもった。





「遥香?


どうした…?」





「私の体を心配してくれるのは嬉しいけど、今は自分の体を治すことを考えてほしい。」






「遥香のことを心配しないなんて無理なことだよ。


それを強制したら俺の体調はどんどん悪くなるかもな。」







「尊…。」







「ほらほら、遥香のことが愛おしいのは分かるけど、遥香に風邪をうつしちゃうかもしれないでしょう。」





「もう少しだけ。尊の温もりを感じてたい。」





「俺も、遥香から離れられない。」






「梓、ふたりの邪魔したら悪いから、俺たちは部屋を出よう。」





「そうね。

遥香、尊も無理はしないんだよ?」






「「はーい。」」





梓先生は、私達に微笑んでから部屋を後にした。






「遥香、またちょっと細くなったんじゃないか…?」




尊は、私の体を触ってそう言葉にした。





「…ちょっと、食欲とかあんまりない日があったからかな…。」




「そっか。


遥香、何かあったら話してくれていいから。」





「ありがとう。」




私は、尊の近くで気づいたら眠りについていた。