ーside朝陽ー



尊から、はるちゃんの診察を任されて聴診してから気づいた。




尊は、この事に気づいていたのだろうか。





一緒に暮らしているんだから、気づかないわけはない。







「はるちゃん自身も、気づいていたのか。」







急いで尊の元に向かった。






「朝陽?」





「尊、はるちゃんのことなんだけど。」






「遥香が、どうかしたのか?」






「はるちゃんの診察をしていて、尊は気づいた?」







「……。」






それは、見たこともない尊の涙だった。







「ちょっと、2人で話そう。


はるちゃんのことは、雪乃に任せてきたから。」






「あぁ。」






尊の様子を見ると、もっと前からこうなることを予想していたように見えた。






本当は、もっと前から覚悟を決めていたのか。






それから、2人で面談室に入った。






「はるちゃんの心音に、不整脈が出ていたのはあの日からだよな。」





「不整脈の薬をずっと飲んでいた。


過去に、心臓病を発症して喘息もあるから1回の心臓の乱れが命取りになる。


喘息の発作と不整脈が同時に現れたら遥香は生死をさまようかもしれない。


でも、そんなことは絶対にさせない。



何としてでも、遥香を救いたい。



俺が、遥香を一生かけて守るって決めたから。


だから朝陽。これから迷惑かけると思うんだけど…その時はよろしくな。」







「迷惑なんて、そんなみずくさいこと言うなよ。


俺は、いつだって尊とはるちゃんを支えていく。



はるちゃんに何かあったり、尊に何かあったらその時は俺も一緒だ。」





「朝陽…。」






「だからさ、1人で抱え込むなよ。


はるちゃんは、人の感情に人一倍敏感な子だから、尊が不安な顔をしていたらすぐに見抜いて、自分を責めちゃうと思うから、はるちゃんの前ではいつも通りの尊でな。」








「あぁ。本当にありがとう。」







「お礼はいいよ。

よし、はるちゃんが心配するから早く病室に戻ろうか。」





「うん。」







俺は、尊と一緒にはるちゃんのいる病室へと向かった。