ーside遥香ー


私は、カーテンの隙間から入り込む光で目を覚ました。



身体を半分だけ起こすと、久しぶりに尊が隣で眠っていた。



私を守るように抱きしめてくれていたみたいで嬉しさのあまり、表情に出ていた。




「遥香…」




眠りながら、私の名前を呼んでくれていることが嬉しくて、そのあまりに私は再び尊に抱きついた。



「遥香?」



さすがにこれは、目を覚ましたみたいで、片手を私の頭に当て、尊の胸に引き付けられた。




「遥香、実習中は毎日吸入をしてほしいんだけどいいか?」




「うん。いいよ。」





「よかった。」





「尊、私実習頑張るね。」




「あぁ、でも無理はするなよ。」




「分かってる。」



「さぁ、朝ご飯作ってるから着替えしちゃいな。それから、診察するから。」




私は、半分だけ身体を起こすと急な発作に襲われた。




「ゲホゲホッ…ハァハァゲホゲホゲホゲホッ」




「遥香!ゆっくり吸入しような。落ち着いて。」




尊の言葉にうまく反応できなかった。




久々の苦しい発作に、私は意識を手放しそうだった。




でも、ここで手放すと実習に行けなくなる。




自分の気持ちを落ち着かせてから、私は吸入を頑張った。




「遥香…大丈夫か?」




しばらく続いた咳がおさまってから、私はずっと尊のパジャマにしがみついていた。





苦しくて、咳はおさまったのにうまく呼吸ができずにいた。




尊は、私を優しく包み込み、ずっと背中をさすってくれた。





「遥香、ゆっくりでいいから呼吸して。怖がらなくていいから。」




尊の言葉を信じ、私はゆっくりと呼吸を行った。




発作が起きた原因が、ここ最近は空気を吸って何かが喉に詰まった感覚がして、発作に繋がる。




だから、呼吸をすることで発作が起きそうで怖かった。