私は、少しだけ重い足取りで大学へ向かった。


身体は思うように動かせないし、立ちくらみも酷い。



流石に、まずいかもしれない。



だけど、今は体調を気にしている余裕はない。



だって、もうそろそろ実習の1週間前だから。


これから、必須講義を受けないといけない。


何とか、自分の身体にムチを入れた。



1時限目を受け終わった後、次の講義を受ける準備をしていると、




「君、具合悪そうだけど…」



後ろから声がして、振り返った。




そこには、さっきの講義をしてくれた人がいた。




「大丈夫です。ゲホゲホ…ハァハァ」




私に発作が襲ってきた。




「大丈夫、ゆっくり深呼吸しよう。」




何とか講師の言葉に反応しながらも、ゆっくり呼吸を整え落ち着いた頃に吸入を行った。





「遥香!?大丈夫?」




発作を起こしている私に気付き、千尋が声をかけた。




千尋の言葉に頷くことが精一杯だった。




「天音さん、遥香さんの荷物持って。すぐ医務室に運ぶよ。」




「はい。」




段々と薄れる意識だから、2人の会話がよく聞こえない。




段々と体が熱くなってきた。




すると、突然浮いた体。




尊以外の人に、運ばれることが怖かった。





「嫌…怖い…ハァハァ…離して!」





「遥香、大丈夫だよ?大丈夫。」




信頼できる千尋がそう言ってくれたけど、私はたまらなく怖かった。




怖さのあまり、私は意識を手放していた。