ーside千尋ー


姉が亡くなってから、私は両親や兄に具合が悪いことを言えなかった。


まだ、両親はお姉ちゃんが亡くなったことに対して、受け止めきれてないところがあって、心配かけることができなかった。



だから、今。兄がすごい剣幕で私を見つめている。




「何よ。」




ずっと黙ったままの兄に私はそう言った。





「いや。あのさ、どうして具合が悪いことを黙っていたんだ?医大生なら、体調が悪いことに気づかないわけがないだろう。」





「…私の身体なんだから、言わなくていいでしょ…?」





「お前の身体だからだ。千尋は、俺の大事な妹だから。親に言いづらいなら、俺に言えよ。何かしら対処するから。」





「翔太には、隠してても分かっちゃうよね。」




「何年お前の兄貴やってると思ってるんだ。そんなことは、お見通しだよ。それより、我慢はするなよ。千尋、お前もそろそろ、甘えることをしろよ。」





「…まだ、気を使っちゃうんだよね。」





「…気を使わせてごめんな。」





「翔太が悪いんじゃない。私の問題だから。」






「お前だけじゃない。俺もだよ。俺の問題でもある。」





「ふふ。ありがとう。」





翔太は、お父さんの連れ子で、私とは血が繋がっていない。




お姉ちゃんと、私がお母さんの連れ子で、私の家族は連れ子同士の再婚だった。




だから、唯一血の繋がりのある姉が亡くなってからは、私は不安でいっぱいだった。




翔太とこれからは、2人の兄妹になる。





でも、私のことをこんなに思ってくれているなら大丈夫だよね。




それより、今心配しないといけないのは遥香のことだよね。



最近、発作も多いし疲れ気味な様な気がする。




大丈夫なのかな。