私と大翔は、内科の診察室を出た。



「なぁ、遥香。」


廊下を歩いている途中に、大翔が少し深刻そうな表情で、私に問いかけた。



「なに?」



「…実はさ、俺…」




「ん?」





「いや…ごめん。何でもない。」




「…そう?」




「あ、尊先生の所に寄らなくていいのか?」



「あ、うん。大丈夫。」




「そっか。じゃあ、ちょっと急ぎ目で帰ろう。」



そう言うと、大翔は私の手を引いて大学へ戻った。