しばらく、尊に抱きしめられていると、



「それより、さっきどうして呼吸器内科を選んだ理由を聞いたんだ?」



「あー…ちょっとね。」


まだ、精神科に行きたいなんて言えなかった。



まずは、勉強が追いつかないと何とも言えない。



だから、就職先はまだ尊には言えないよね。



ちゃんと、6年生になれたら話そう。




「今は、まだいいかな。そのうち話すね。」



「分かった。でも、話したい時いつでも言って。」



「ありがとう。」



「うん。」


尊なりの気遣いだった。


尊は、人の心を読む天才だから、今すぐにでも重要なことと、重要だけど時間をかけていいことの見極めができている。



だから、私の気持ちをよく理解してくれる尊だから、私は私のペースで話す準備ができる。



「尊?勉強教えてくれる?」



「いいよ。その前に聴診だけさせて。」



ですよね。



今日は比較的呼吸が落ち着いている。



「うん。大丈夫だね。じゃあ、今日は何やる?」




「んー、疾病の病理学教えて。」




「いいよ。じゃあ、シラバス見せて。」



私は、尊にシラバスを渡した。




「担当の講師変わったけど、大丈夫。この人俺の先輩だから。何となく、授業の進め方は分かる。」





「尊って、すごいよね。」




「すごくない。じゃあ、まずは教科書読んで見ようか。」




「うん。」




私は、尊に言われた通り教科書を開き読み始めた。



教科書は、パッと見た時すぐに分かるように、その病気の治療法や原因など色分けをしている。



これも、尊から教わった効率のいい勉強方法。