ーside尊ー
辺りが暗くなり始めた頃。
カルテを見て一安心した。
最近の遥香は、図書館にこもって勉強をしている。
だから、今日の診察にちゃんと来てくれたことに安心をした。
今日は、遥香で最後の患者だった。
遥香の診察の準備をしてから遥香を呼びに待合室に向かった。
遥香?
視線の先には、待合室のソファーにもたれるように眠る遥香がいた。
いつもは、起きて勉強している。
だから、遥香に何かあったと思い、
「どうした!?」
俺は、急いで遥香の元へ向かった。
「あ、すみません。眠そうだったのでそのまま寝かせました。」
「そうだったんだ。千尋ちゃん、大翔君。ありがとう。」
「いえ。それじゃあ、私と大翔は帰ります。遥香のこと、宜しくお願いします。」
「わかった。」
千尋ちゃんと大翔君は俺に頭を下げた。
それから、遥香を抱き上げ診察室のベットへ運んだ。
腕の中でぐったりしている遥香。
微かに聞こえる喘鳴が遥香の呼吸を苦しめている。
すぐに吸入させないとまずいな。
遥香をベットに寝かせると遥香の身体を揺すり起こした。
「遥香、聞こえるか?」
「ん?」
「起こしてごめんな。発作が起きそうだから吸入しよう。」
「分かった。」
遥香に吸入器を渡してから、背中を擦りなるべく負担をかけないように吸入させた。
それから、少し落ち着いた頃
「大丈夫か?呼吸楽になった?」
「うん。ありがとう。」
「ちょっと口開けて。」
遥香の声がかすれていることに気付き喉の様子を見た。
やっぱりか。
扁桃腺が腫れている。
「遥香、喉痛くないか?」
「んー…ちょっと痛いかも。」
「じゃあ、薬塗るからそのままでいて。」
「んー…」
「よし、もういいよ。」
「ねぇ、尊?」
「ん?」
「診察、週に1回にしてもらえない?」
「え?」
「…私、皆みたいにちゃんと授業受けられる日も少ないし、難しい授業についていくのも精一杯で…」
「遥香、気持ちも分かるけどそれはちょっと許可は出せないかな。」
「どうして?」
「遥香の、ここ最近のピークフロー値があまりよくないんだ。本来ならすぐに入院をしてもらいたいんだけど、それは嫌だろ?だから、遥香の負担にはなるかもしれないけど、診察はちゃんと受けに来て。」
「もー…」
遥香が、こんなにも診察を嫌がったことは1度もなかった。
もしかして、焦ってるのかな。
体調が悪くて、早退や遅刻を繰り返しているということを、教授に聞いたことがあった。
それでも、休まなかった遥香は本当にえらいと思う。
それだけ、遥香の気持ちは本気なんだろうな。
だからこそ、勉強で焦ってるとしたら俺に相談してほしい。
「遥香、俺のこと頼っていいんだよ?」
気付いたら、俺はそう口にしていた。
「でも…」
遥香は、少しうつむき加減だった。
「てか、頼れよ。」
「尊だって…忙しいでしょ?」
「そんな事考えるくらいなら、今は自分の体調を整えることを考えな。遥香に無理をさせたくないんだ。」
「尊…。いいの?勉強見てくれるの?」
「いいに決まってる。てか、気づいてやれなくてごめんな?俺も遥香が入学したばかりだったのに当直続きで遥香に負担かけたな。」
俺は遥香の頭を胸に引き寄せた。
「いいよ。尊も、大変なんだから。患者さんのこともちゃんと見てあげてね。」
「あぁ。遥香は優しいな。」
「優しくないよ。」
辺りが暗くなり始めた頃。
カルテを見て一安心した。
最近の遥香は、図書館にこもって勉強をしている。
だから、今日の診察にちゃんと来てくれたことに安心をした。
今日は、遥香で最後の患者だった。
遥香の診察の準備をしてから遥香を呼びに待合室に向かった。
遥香?
視線の先には、待合室のソファーにもたれるように眠る遥香がいた。
いつもは、起きて勉強している。
だから、遥香に何かあったと思い、
「どうした!?」
俺は、急いで遥香の元へ向かった。
「あ、すみません。眠そうだったのでそのまま寝かせました。」
「そうだったんだ。千尋ちゃん、大翔君。ありがとう。」
「いえ。それじゃあ、私と大翔は帰ります。遥香のこと、宜しくお願いします。」
「わかった。」
千尋ちゃんと大翔君は俺に頭を下げた。
それから、遥香を抱き上げ診察室のベットへ運んだ。
腕の中でぐったりしている遥香。
微かに聞こえる喘鳴が遥香の呼吸を苦しめている。
すぐに吸入させないとまずいな。
遥香をベットに寝かせると遥香の身体を揺すり起こした。
「遥香、聞こえるか?」
「ん?」
「起こしてごめんな。発作が起きそうだから吸入しよう。」
「分かった。」
遥香に吸入器を渡してから、背中を擦りなるべく負担をかけないように吸入させた。
それから、少し落ち着いた頃
「大丈夫か?呼吸楽になった?」
「うん。ありがとう。」
「ちょっと口開けて。」
遥香の声がかすれていることに気付き喉の様子を見た。
やっぱりか。
扁桃腺が腫れている。
「遥香、喉痛くないか?」
「んー…ちょっと痛いかも。」
「じゃあ、薬塗るからそのままでいて。」
「んー…」
「よし、もういいよ。」
「ねぇ、尊?」
「ん?」
「診察、週に1回にしてもらえない?」
「え?」
「…私、皆みたいにちゃんと授業受けられる日も少ないし、難しい授業についていくのも精一杯で…」
「遥香、気持ちも分かるけどそれはちょっと許可は出せないかな。」
「どうして?」
「遥香の、ここ最近のピークフロー値があまりよくないんだ。本来ならすぐに入院をしてもらいたいんだけど、それは嫌だろ?だから、遥香の負担にはなるかもしれないけど、診察はちゃんと受けに来て。」
「もー…」
遥香が、こんなにも診察を嫌がったことは1度もなかった。
もしかして、焦ってるのかな。
体調が悪くて、早退や遅刻を繰り返しているということを、教授に聞いたことがあった。
それでも、休まなかった遥香は本当にえらいと思う。
それだけ、遥香の気持ちは本気なんだろうな。
だからこそ、勉強で焦ってるとしたら俺に相談してほしい。
「遥香、俺のこと頼っていいんだよ?」
気付いたら、俺はそう口にしていた。
「でも…」
遥香は、少しうつむき加減だった。
「てか、頼れよ。」
「尊だって…忙しいでしょ?」
「そんな事考えるくらいなら、今は自分の体調を整えることを考えな。遥香に無理をさせたくないんだ。」
「尊…。いいの?勉強見てくれるの?」
「いいに決まってる。てか、気づいてやれなくてごめんな?俺も遥香が入学したばかりだったのに当直続きで遥香に負担かけたな。」
俺は遥香の頭を胸に引き寄せた。
「いいよ。尊も、大変なんだから。患者さんのこともちゃんと見てあげてね。」
「あぁ。遥香は優しいな。」
「優しくないよ。」