それから、再びその女性は、ペンを走らせた。



「私は、真白帆乃華(マシロ ホノカ)。よろしくね。」



「宜しくお願いします。」


私は、自分の口の動きで伝わるように言葉にした。



すると、またその人はペンを走らせた。



「私は、訳あって声が出ないけど、耳はちゃんと聞こえてるよ。さっき、あなたの名前を聞いた時は、忘れないように。またここで会った時、話しかけに行けるから。」




そう書いて、笑顔で私に見せてくれた。




思わず、つられて笑顔になれるくらいその人の笑顔は眩しかった。




「歳はいくつ?」



今度は、私から聞いてみた。



「21歳。はるちゃんは?」



「18歳。今年で19歳です。」



「若いね。羨ましい。」



「若いって。そんなに歳は変わりませんよ。」



「20歳になるとね、10代の子が若いって思うの。」



そんな会話をしていると、看護師さんから呼ばれた。



「あ、やっぱりここにいた。遥香ちゃん、検査に呼ばれたから行こう。」




「はい。」



私が、立ち上がってから急いでペンを走らせた帆乃華さん。



「私の連絡先。遥香ちゃん。またここでお話しよう。」



「もちろんです。」



笑顔で、帆乃華さんと分かれ、私は近藤さんと検査室へ向かった。