私は、手術をした次の日から再びリハビリが始まった。


早めにリハビリを始めないと、体力が落ちていってしまうことや、褥瘡が出来てしまうことを尊から聞いた。


そうなると、入院生活が長引いてしまう。



それだけは、絶対に嫌だった。



だけど…

正直、痛みと戦いながらのリハビリだっあからとても辛かった。


それでも、私を励ましてくれる理学療法士や一緒にリハビリを頑張る人達。



そのおかげで、私もリハビリから逃げず頑張れることが出来た。


一通りリハビリが終わると、私は一休みをしようと椅子に腰をかけた。




「お疲れさま。」



尊は、私の隣に腰を降ろした。



「尊?診察もう終わったの?」



「あぁ。ちょうど昼休み。」



「そっか。」


「遥香は、リハビリ終わった?」



「うん。とりあえずは。」



少しだけ、傷口が痛くて私は胸を抑えていた。



「痛むか?」



「うん。ちょっとだけ。」



「痛み止め入れるから、病室に戻ろう。」



「うん。」


私は、尊に抱えられ病室に戻った。



「ねぇ、尊?私、今日で入院してから何日目?」




「んー、遥香が入院してからもうすぐで10日は経つよ。」




「…本当に?」



「うん。だけど、どうして?」



「ずっと授業に出てないから…」



私は、こうしている間でもどんどんと講義は進められていることに不安を感じていた。



このままだと、本当に勉強が追いつけなくなる。



そうなると、本気で危ない気がしてきた。


もし、留年になったら…



そう考えると、ぞっとするくらい怖かった。



せっかく、尊に高い学費を払ってもらってるのに。



尊を裏切るような事は絶対にできない。




そんな事を、考えているとおでこにひんやりとした感覚がして顔を上げると、尊が私の額に手を当てていた。




「うん。大丈夫そうかな。」



「尊?」



「遥香、正直に答えて。」



「え?」



「今、苦しくないか?」



「うん。苦しくないよ。」




「痛み止め入れたけど、それは効いてきた?」



そういえば、胸の痛みが嘘みたいに消えていた。




「うん。痛くなくなった。」



「よかった。遥香。そんなに不安なら、無理しない程度で勉強やるか?」




「え?」



「午後の診察が始まるまで、俺もここにいれるから。一緒にやろう。」



「いいの?」



「あぁ。」



「ありがとう!」



私は早速、テーブルの上に解剖生理学の教科書とファイル、ノートを広げた。




「ちょっと、ファイル見せて。」



尊の言われた通り、ファイルを尊に渡した。



真剣に何かを考えている尊。



「講義の先生は、俺と同じだったから流れは何となく覚えてる。この先やろうか。」



「ありがとう。」



私の言葉に、尊は照れながらも私の頭を撫でてから、解剖生理学の教科書に目を通した。