「あのさ、ちょっと用あるから残っててくれる?」



帰ろうとすると、突如先生に手を引っ張られながらそう言われた。



「!?……いいですけど。」

「じゃ、俺先に帰るわ。じゃあな優佳。」



振り返ると、明らかに気に食わないオーラを出した壮介の後ろ姿が見えた。



────何、先生のことが嫌いなの??



「先生……手。」

「あ、ああごめん。掴んで。」



別に嫌とかではなく、
単に恥ずかしかっただけなんだけどね。

先生は気まずそうに口を開く。



「俺が言うことでもないだろうけど、
最近三野谷と仲悪い……?」



いやいや、先生のせいですよ!

思わず語気を荒げて言いそうになったのを必死に抑えた。



「まあ、いろいろありまして……。
でも、私が三野谷さんのこと信じてあげられてないからなんですよね。」