「あ、瀬名先生。お疲れ様です。」



まさかと思い声の主を見たら、
例の生物部の女子生徒が屈んでいた。



「どうして勝手にここにいるんだよ。まだ部活の時間じゃないのにビックリするだろ。」

「昨日部活の後に忘れ物しちゃって落ちてるかなと。」



そして屈みからの上目遣い！

ずるいよ........

というか絶対この子先生のこと好きだよね！？



「なんだ、そういうことか。」

「でももうずいぶん探してるので、諦めた方がいいですよね？」



からの首傾げ！

もうだめだ、この子は魔性の女かもしれない。

そしてこの子の言動一つ一つに実況を入れてしまう自分も嫌な女だと分かっている。



「そうだなあ、お気に入りとかだったら別だけど
普通のクリップだったら俺は諦めるかもな。」

「そっか......。
まあ今日は諦めますけど、もし茶色のクマのクリップ見つけたら預かっておいてもらえますか？」

「ああ、分かった。」

「よろしくお願いします。」