「失礼します。遅れてすみません。」

「大丈夫大丈夫。ついさっき前の子が終わったところだったから。
むしろタイミングちょうど良かったよ。」



伊藤先生はいつも優しく、
まるで紳士みたいな先生。

40過ぎの先生だから瀬名先生みたいにモテるわけではないけど、生徒に人気だ。



「新沼さんにはまず7月の模試の結果返すね。」



そう言われ、返された結果はあまり良くなかった。

高校に入ってから初めての模試だから仕方ないと励ましてくれたけれど、それでも悔しい。



「第一志望はS大学ね。
まあ正直言うとうちの高校からは厳しいけど、今の新沼さんなら頑張れば十分合格できる可能性あるでしょう。
生物の成績は既に合格レベルに達しているから。」

「ありがとうございます。」

「生物の瀬名先生も褒めてたし。」



え?

あの瀬名先生が私のことを??



「そうなんですか!?」

「うん。自分が高校生の時にこれくらい頭良くなりたかったって言ってたよ。」