女子生徒を軽くあしらうと、先生は手に持ったケータイの存在に気づく。



「おっごめん。持ちっぱなしだったわ。ケータイ返すな。」



先生が私にケータイを渡す。



「写真ありがとうございます。」

「いーえ。……昨日はごめんな。」



先生は一瞬だけ頭の上に手を置いて、違うところに行ってしまった。


まさか謝られるとは。


心の中に残ったままのコーヒーの苦い匂いが再び充満し、記憶を鮮明に甦らす。

そしてその記憶が私の首を絞めつける。


私は無理やり元気を出して、石井君や咲ちゃんたちのところに戻る。



「お、優佳ちゃん戻ってきた。班のみんなで写真撮ろうよ。」

「うん。」



咲ちゃんがカメラを持ち、6人入るように写真を撮ってくれた。