ふて腐れていると、いつの間に先生の手が私の顎に添えられている。


拒否する間もなく唇が重ねられる。


舌を通じて先生の口から私の口へとコーヒーの苦い匂いが移る。



「な、ずるい奴だろ。だから早く他の男のところ行け。」



そう言い残し先生は階段を上がっていった。

口の中に残ったコーヒの苦さが心にまで充満する。




ガチャ

「お帰り。ずいぶんと長かったね。…って何も買ってないじゃん。」

舞の言葉を無視して、ベッドの上に大の字になる。

今度はうつ伏せで。



「……好きな飲み物なかったのか。じゃ、私先に寝てるね。」



この冗談はきっと舞なりの気の利かせ方だと思って、うん、とだけ返事をした。