「そんなわけないじゃん。私だってその…別れたけど、新しい恋する気はないから。」

「なるほど。
……でも、先生は新しい恋をしてくれること望んでいるんじゃない?」



私は舞の意見が的を得ていすぎて、発する言葉が出てこない。


私も気づいていた。

先生が私と別れたのは、自分ではなく同級生と高校生らしい青春をしてほしいからだって。

あの時は先生の「愛しくて仕方ない」という言葉に惑わされたけれど、
今考えれば遠回しに「もう俺たちは付き合うことはない」って言っていたんだ。

新しい恋をしろって言っていたんだ。


あまりの残酷さに私はこの現実にずっと目を背けていたが、いつか向き合わなきゃいけない。

その時が今なのかもしれない。



「無理に恋しなくていいよ。だけど、ずっと今の恋引きずってもいてもよくないと…思うんだよね。」



きっと先生も引きずることが良くないのは分かっているのだろう。

だから元カノの私にもよそよそしい態度で接する。

先生はきっともう前に進んでいるんだ。

愛しいという言葉もあの言葉を発した時点は先生もそう思っていたけれど、私を手放した今は違うはず。

もう向こうは私のことを何とも思っていない。