「あっちが札幌駅かな?」



隣の石井君が私に話しかける。



「多分そうかな。あのシルエット駅っぽいし。」

「やっぱりそうか。じゃああの辺かな、今日周ったところ。時計台とか3大がっかりなだけあって小さいから、ここからじゃさすがに見えないけども。」

「あーそうかもね。あっあの奥に見えるのって札幌ドームかな?」



気を紛らわすかのように石井君と話を続けて、
必死に先生の存在を忘れようとする。



「おっそうかもな。最終日そこと近くのクラーク博士の銅像あるところ行くんだよな。名前……なんだっけ。」

「羊ケ丘展望じゃなかった?」

「そうだそうだ。新沼さんよく覚えてるね。すげー。」

「そんなことないって。それこそ石井君頭いいんだから。」



瀬名先生だって女子生徒と話しているんだから、私だって少しくらい石井君と話してもいいでしょ。

半分自棄になりながら、楽しそうな振りをした。

でもそれもだんだん空しくなってきた。