「それは先生のこと好きになった新沼さんに言ってくださいよ。」

「新沼が誰を好きになろうと関係ないだろ。
俺が言いたいのは、恋愛は好き勝手にしてもらって構わないけど他人を巻き込むな。新沼と吉澤をくっつけるために俺を利用するな。
そして市田も利用されるな。」



先生のその言葉で市田さんは泣き崩れた。

怒られたから、
というより最後の一文があまりに図星だったのだろう。


だって分かるもん。

好きな人に幸せになってほしい気持ち。

私は今こうして先生と両想いになれているけれど、例えなれていなかったとしても先生の好きな人と幸せになってほしいと思うから。



「市田さんが壮介のこと大切に思ってるのは分かったよ。だけど、こういう形でくっつけようと思うのはやめよう。
それに私、今は壮介のこと何とも思っていないから市田さん自分の想いを自分の言葉で壮介に伝えてあげな。」



私は市田さんの背中をさすって落ち着かせた。

真相が明らかになってすっきりした気分でお店を後にする。