「これは何、デートの前か?」
「そうです。彼女の仕事終わりを待っていました。」
「そう。……じゃ、瀬名先生ここで待機しててくれるかな。」
校長は瀬名にそう言い残し、部屋を出て行った。
ドアの閉める音が聞こえた瞬間、瀬名は大きくため息をついた。
一方、生徒相談室では学年主任が市田に質問していた。
「この女子は市田で間違いないか?」
「はい。……あの…実はその日、瀬名先生に誘われていたんです。ドライブにも行かないかって。
私も生物部でお世話になっていたので断るわけにもいかず、ついていったんです。そのせいでこんなことになって……。」
市田は涙を目に浮かべながらそう話した。
「私も甘かったんです。信頼してる先生だから大丈夫だって思ってたんです。
だけど、まさか無理やり…キス……されると思わなくて……。」