一瞬、もしかして石井君…と思ったが、
石井君のことだからきっと他の女子にも同じようなことを言うだろう。

私たちは3階まで階段でジュースを運んだ。

その時だった。



「瀬名先生ありがとうございますー!いいんですか?」


「そんなに欲しい欲しい言うからだろ。ただ130円以内な。」



瀬名先生という言葉に反応して周りを見ると、
瀬名先生と市田さんがいた。

そして二人も私の存在に気付いてしまった。



「お、新沼も石井もお疲れ。」



先生はそう一言だけ言い、階段を降りて行った。



…ま、そうなるよね。

私の存在に気付いてくれただけでも嬉しいのに、素っ気ない態度に落ち込む。

別にかまってもらいたいわけではない。

ただ、付き合っているのに関われない私がいるのに、付き合ってもいないのに馴れ馴れしく接する市田さんがいる、という事実が憎くて仕方ない。

何で何ともないあなたがそんなに瀬名先生と仲良くできるの?