待って、と声に出す前に電話が切れてしまった。

いくら担任だからといってもこの時間に先生が家庭訪問するだなんて、親が疑うに決まってる。



「お母さん、ちょっとシャー芯切れたからコンビニまで買いに行ってくる。」

「分かった。気をつけていってらっしゃい。」



私は仕方なく公園に向かう。

歩いて3分の公園に着くと、既に先生の車が止まっていた。

しかし、先生は公園のベンチに座って待っていた。



「お待たせしました……。」

「ごめん、強引に会わせて。」



いつもなら「本当ですよ」って冗談めかしながら言えるけれど、
今はそんな気分ではない。

私は先生の隣に座る。



「優佳、本当のことを教えて。
別れ話をするきっかけになる出来事が何かあったんだろ。」



決して強い語気ではない口調で私に話しかける。