「それは向こうがただ遊ぶ相手としてしか見てなかっただけだろ。
優佳だって分かってるだろうけど、俺はこんなヘラヘラした甲斐性なしの男だもん。」



先生が自虐的になるのも珍しい。

いつも他虐的だからこそ。



「………でも、いざという時には頼りになるし、
私和斗が彼氏で本当に良かったです。」



『まもなく第24回桜川花火大会を開催いたします。』



「〜〜〜。」



アナウンスの音声に紛れて先生の声がよく聞こえなくて、
先生の顔を覗き込みながら口を開く。



「和斗ごめん、聞こえな……」



先生の手が私の両頬に添えられ、
顔が近づく。

受け入れるように私は目を閉じる。




ドーン ドドドドーン




地響きのような音と共に、

私の唇に一瞬柔らかい感触を感じる。



私と先生はお互い見つめ合うなりどちらからともなく、
長く唇を重ねる。