「ごめんなさい、結局毎回送ってもらって。」
「いーのいーの。」
今日は合計2週ある塾の夏期講習の第一週目最終日だ。
都合のいい日だけ送ると言いつつ、
結局月曜から毎日送ってもらっている。
5日目にもなると、先生のヒゲとメガネ姿にもだいぶ慣れた。
少し浮浪者にも見えなくもないけれど、
また違ったカッコよさがでているなとしみじみ思う。
私は人目につかないようにささっと先生の車に乗るなり、先生は車を発車させる。
「優佳は何か買いたい物はあるの?」
今日は16時に講習が終わったので、
先生と車で15分ほどのショッピングセンターに行くことにした。
「うーん、アクセサリーいいのあったら買いたいですね。先生は?」
「俺はネクタイかなー。そろそろ新しいのほしいし。」
一度でいいから先生のネクタイを選んでみたいという気分になる。