「実際苦労はしていますけど、最終的には私が決めたことなので後悔はしてないですよ。」



見栄を張っていないと言ったら嘘になるけども、
今はこうして言葉に出すだけでそれが自分の気持ちになるような気がした。



「そっか。…ま、何か困ったことあったら伊藤先生でも担任の俺でも相談していいから。」

「ありがとうございます。」



『担任の俺でも』と言われてしまうと、
付き合ったばかりなのに前よりも距離が遠くなった気がしてしまう。



「先生。」

「どうした?」

「付き合って…いるんですよね。」



廊下にもし人がいたら。

その状況を考えて、声を潜めて先生に聞く。

先生はどこから出したか分からないメモ帳に文字をすらすら書く。



『校内では教師と生徒といったでしょ!』



そうでした。