そ、そうだった……。

物理の成績ばかり気にしてて、日直だということも忘れていた。

先生は私の前の席の机に寄りかかる。



「すっかり忘れてました…。あと5分だけ時間いいですか?」

「ドジだなあ。ま、適当でいいから。
物理の課題あるんだろ?」

「え、先生なぜそれを!?」



もしや伊藤先生が担任である瀬名先生に既に伝えていたとか。



「さっき伊藤先生に会ってさ、新沼が赤点取ったって聞いたから。」



やっぱりそうでしたか。

私はまた傷をえぐられた気分の中、
急いで日誌を書き進める。



「…でも、伊藤先生少し心配してたよ。自分が物理勧めたから新沼さんに苦労かけてるって。」



伊藤先生そう思ってたんだ……。


正直、こんなに物理苦手なら受験は乗り越えてもその先の大学の授業で苦労するんじゃないかって、不安に思っていた。

そこに伊藤先生が課題を出してきたから、
伊藤先生に思わず八つ当たりしかけていた。

だけど、伊藤先生が心の中ではそう思っていることを知って、心が落ち着いた。