「いくら苦手なのは分かっているけど、赤点取ってしまった以上は仕方ないから、これ課題ね。」



伊藤先生が渡してきたのは、分厚いプリントの束だった。



「これ、明後日までに取り組んできてね。」

「は、はい…。」



教室に戻ってプリントの束を見ると、両面印刷ではない分思っていたより量は少なかったが、
それでもそれなりに時間はかかりそうだ。



「残ってやっていくか…。」



私は放課後1人教室に残って、課題に取り組むことにした。



どれくらい時間が経ったのだろう。

ようやく半分終わろうとしたところに、
ドアの開く音が聞こえた。



「お、いたいた。」



聞き慣れたその愛しい声。

振り向くと、瀬名先生が立っていた。



「どうしたんですか、先生。」

「どうしたも何も、君今日日直でしょ。
日誌出さないと俺が帰れないんだって。」