先生は近くの丸い椅子を持って、
私から2メートルほど離れたところに置いて座った。



「けが、大丈夫?」

「は、はい。」



そう言えば、前にもこんなことあったな。

確か、勉強合宿の肝試しの時だ。

あの時もケガの様子みに来てくれたんだっけ。



「あの、先生。医務室まで来てくれてありがとうございます。」

「いーえ。
……心配だったからさ。」



いつも意地悪なのにこういう時に優しいだなんてずるい。

この人は天然タラシなんじゃないかとさえ思えてきた。



「あと……新沼に謝ることがあって。」



謝ること?

先生は椅子に座りなおしてから話を続けた。