「えっそこがいいじゃないですか。
それともこれはどうですか?」



でもやっぱり気になってちらっと声のする方を見ると、
混雑しているせいもあるのかかなり密着してる。


ず、ずるい……!!


正直私の方がリードしてるって思い込んでいたけど、侮れないこいつ!



「あれ、先生まだここにいたんですか。」



考えるよりも先に体が動いて、
気付いた時には先生の近くにいた。



「うわっ、新沼。お前今日本当に突然現れるなー。」



先生は眉を八の字にしつつも笑ってくれた。



「何か買うんですか?先生は。」

「んー特には。でもまあお前がお金出してくれるなら何か買おうかな。」

「冗談やめてくださいよ。私そんなにお金ないんで。」



困った反応を見せつつも、実は内心とてもテンションがあがっている。

だってこれって私が先生にプレゼントできるってことでしょ?

お金さえあれば……
なーんて思っちゃう。

一線を引かれたことすら忘れつつある。