「はい。……あの、1年間お世話になりました。
年中生物準備室入って迷惑かけましたよね。」

「いや、新沼と話してて楽しかったよ。成績も優秀だったし。
本当、生物選択じゃないの勿体無いなってくらい。」



私と話してて楽しかったって、その一言を言ってくれるだけで本当に嬉しい。



「じゃ、俺戻るわ。
ごめんな、メシの邪魔して。」

「いえ。こちらこそわざわざ教室まで届けてくれてありがとうございます。」



渡された資料集を持ちながら席に戻ると、舞がなぜかニヤニヤしてた。

怪訝そうな目で舞のことを見ると、口を開いた。



「諦めたようには見えなかったけど。」

「いや、その…諦めたというよりは何もせず現状のままでいいかなってことだから、いいじゃん。喜ぶくらい。」



私は軽くふてくされながら答える。



「どっちつかずなのね。まあ無理に諦めなくていいと思うし、いいんじゃない。」

「そうだよね。」



いっそのこと嫌いになるまで片思いし続けてもいいんじゃないかと思いつつもある。

けれど、それはいくらなんでも辛すぎるから徐々に諦めようと決めた。