爽が目をさますと、そこは病院だった。

等間隔で刻まれる電子音。

真っ白な壁。

ほのかに香る消毒の匂い。

周りには、桜龍のメンバーが勢ぞろいしていた。

「……ぁ」

声を出そうとするが、掠れたうめき声のような声しか出ない。

「……水無月君⁉︎水無月君……起きたの‼︎

ねぇ、お兄ちゃん‼︎水無月君が……目を覚ましたよ‼︎」

小さな声に反応して起きた彩葉は直ぐに仁を起こした。

「……また、寝ぼけて……」

仁は眠そうにしながら、目をこすり 開けた。

「うわ、本当だ……え、これ、夢じゃないよな……⁇」

「お兄ちゃん、ナースコール‼︎
ナースコールしなくちゃ‼︎」

「おう、そうだな……」

仁は彩葉に言われ、ナースコールを押した。

2人が騒ぐから、他のメンバー……凌牙を除く、も起きてきた。

「……爽の目、開いてる⁇」

走馬が寝ぼけながら、爽の顔をじっくりと眺める。

「うわあ‼︎爽の目、開いてる!!!」

走馬は驚きのあまり、椅子から転げ落ちた。

その音に目を擦って、無理に起きようとしていたメンバー、やはり 凌牙を除く、が走馬を五月蝿そうに見ながら 目を覚ました。

「……この馬鹿が‼︎
こんなことして……この俺が、お前を許すとでも思ったのか‼︎

この馬鹿が‼︎」

「翔太、語彙力なさすぎ。」

「風牙‼︎そんなこと、冷静に言ってる場合じゃねえだろ!!!」

「とりあえず、まだ夜中だよ⁇
いくら、個室だとは言っても 周りの患者さんに迷惑でしょ⁇

声のトーンを落として。」

「……コホン、悪かった。

で、爽‼︎お前 何 勝手なことしてんだよ‼︎」

「……翔太、さっき言ったことと内容 ほぼ同じ。」

感情的になっている翔太と冷静沈着な風牙がやり取りをしているのを見て、爽は フッーと笑った。