「俺らが入って早々、オチケンが蓮に目をつけられてさ。
オチケンって見た目弱そうじゃん。
俺もあんま不良っぽくないみたいみたいだし。
でも俺もオチケンも結構ケンカ強くってさー。
まぁ蓮も快斗もかなり強いんだけど。
で、毎日やりあってて2ヶ月くらいしたときかな。
隼斗が突然、"もういいだろ"って言ってさ。
毎日ケンカしてるより、毎日遊んでた方が楽しくねー?ってなった。
その時たまたま別の族に絡まれて、俺ら5人で相手の族をボコボコにしたんだよ。
それが俺らの過去。
毎日ケンカして、手加減なしで殴りあって、一緒に戦って、絆深めた的な。
俺らってばかだからさ、そうやって友達作ってくんだよね。
仲良くなってもケンカなんか日常茶飯事。
だけどその分遠慮なしでものを言う。
言いたいこと言ってケンカになっても、俺らはその程度では離れないって信じあってんだよね。
気持ち悪いけど。
でも俺ら5人、みんなのことだいすきなんだよね。」


「………ゆっきーさんも?」


「当たり前じゃん。
気持ち悪いからあいつらには言わないし、あいつらも言わないけど、言わなくてもちゃんとわかってる。」


「へぇ…いいですね。」


私にはそんな人、誰一人としていない。
言いたいことも言えない。
胸はって友達と言える人は誰も………


「………誰のことも信じようとしない人に、人は集まらないよ。」


「…え?」


「誰のことも信じない人に、誰もついては来ない。
今の桜子じゃ、きっといつか快斗にも相手にされなくなるよ。」


「………わかってます。」


「じゃあどうしていつも壁を作ってる?
そんなんじゃ、蓮だって信じられないに決まってるじゃん。」


「………私なんか、一人でいればいい。」


私はそういって、空を見上げた。