「………なんだよ、桜子。
今俺を見るシーンか?」


「あ、すみません。
黒崎くんでも声だしてそんなに楽しそうに笑うんだな、と思いまして。」


「そりゃ誰だって友達といるときは笑うだろ。
俺のイメージどんだけ最悪なんだよ。」


「や、だって今まであんまり見なかったので。」


「そりゃまだ桜子を本気で仲間だなんて思ってないからな。」


その言葉に、なぜか私の胸に、なにかグサリと刺さった気がした。

確かに、私に笑ったことはない。
微笑んでいる、というより、ニヤリとなにかを企んだ顔はしたことはあるけど……


「………気分が悪くなったので帰ります。
失礼します。」


それだけ言って私はキューを固まる大津くんに渡した。


「………えぇ!?なんで!?
隼斗が覗いたから!?」


なんてなんか言ってるけど私は無視して荷物をもって出口へ向かった。


「ちょ、待ってって!」


けど、ドア目前にしてまたしても手を掴まれた。


「………あ、お金…
いくらですか?」


「そんなのいいよ!隼斗がどうせ払うし!
………それよりなんでそんな急に帰るのさ。
隼斗なら俺が殴っとくし。」


「そんなんじゃないんです。
すみません。
………あ、服とかありがとうございました。
嬉しかったです。

皆さんの邪魔してすみませんでした。」


私はそういって頭を下げてお店から出た。