なにも言わずに出ていったってことは、少なからず彼らの心に私の言葉が届いたはず。

………だけど、全く心になにも刺さらないやつもいるわけで……


「さーて、やるかー。」


「おじさーん!6人ねー」


きっと、あの暴走族で一番悪さをしてるこの5人。
この5人には私の言ったことなんかなんにも刺さってはいない。

それだけ自分のやってることに自信と誇りを持っているのか………

よくわからない。
人間として、どういう神経をしているのか…


「じゃ、今日のここのゲーム代と場代は一番下手くそなやつがおごるってことで~」


「おい、隼斗!
桜子ちゃんがいるのにそれはないだろ!」


「かまいません。」


「え?」


隼斗さんの案に私も賛成だ。
そういう賭けがあってこそゲームは楽しいと言うものだろう。
賭博をやるよりは全然いいと思った。


「ちなみに、いつも一番下手なのは誰なんですか?」


「隼斗。」


「へぇ。」


そのくせ自分からこの賭けを言ったのか。
ってことは私のことを相当甘く見てるってことかな。


「一番上手なのは?」


「ゆっきー。」


「へー、ぴったりですね。」


「え、まじで?
やったねー。」


ゆっきーさんはとにかく見た目も対応も笑顔も大人。
この人が暴走族ってほうが驚き。

他の人たちはまぁまだなんとなくわかるけど。


「でもさ、桜子ってビリヤード出来るの?」


………この人が私のことを呼び捨てにするのはなんとなく変な感じだけど。


「昔やったことがあります。
感覚を忘れてなければできると思います。」


「へー、そうなんだ。
じゃあ負けないように頑張ってね。」


そうやってキューを持つゆっきーさんは、やっぱり大人っぽい。