中はさぞかし静かで"カコーン"と音が鳴り響いているんだろうなと思いながらゆっきーさんが開けたドアから中へ入ると……


「いいじゃーん!別にくれって言ってるんじゃないんだから~!」


と、大きな声がした。


「なにあれ。」


「ん?お金借りてるんじゃない?」


お店の奥、声がする方を覗くと、いかにも不良やってますみたいな男二人が、普通の男子高校生二人に壁ドンしていた。


「で、でも……どこの誰かもわからないのにどうやって返すんですか…」


その言葉に、私の足は動き出していた。


「そんなの調べればすぐわかるから大丈夫だって~!
………早く財布出せよ!!」


こいつらの威圧的な態度にお財布を出した男子高校生。
そのお財布をすかさず私が奪った。


「………あ?誰だテメェ。」


「威圧的な態度で金品を要求すると脅迫罪になります。
お金を借りるときは借用書が必要になります。
未成年のあなたは保護者の同意が必要になります。

この人が嫌がっている以上、今あなたがこの人からお金をかりることはできません。
お引き取りを。」


私はそういって男子高校生にお財布を返し、背中を押してさっさといくように仕向けると、男子高校生二人組は走ってお店から出ていった。


「………チッ…
テメェ、邪魔してんじゃねーよ。」


「違法行為をしていたのは、あなたたちです。」


「は?」


「ばっかじゃねーの?」


「バカなのはあなたたちでしょう。
だからこそ低レベルのことをしているのでしょ?」


私がそういうと一人の男が私の胸ぐらを掴もうとした。
その瞬間………


「タカ!」


黒崎くんの声が飛んだ。
そしてその瞬間、この男の動きも止まった。


「蓮さん?」


「やめとけ。
そいつに手を上げたら快斗がキレるし。」


「え、もしかして快斗さんの…」


「残念ながら違うけどなー。
でも俺の桜子ちゃんに触ったら、いろんな意味でキレるから」


大津くんはそういってこちらに来て、私の肩に腕を回した。


「二度とこの子に触ろうとすんなよ。」


そう低い声で言うと、目の前の男たちは一歩後ずさった。