………それにしても、私が休みの日に誰かと遊ぶなんてね。
しかも暴走族の、この人たちと。

私の人生では絶対ありえない人たちだったはずなのに。


「桜子ってさ、彼氏いたことあんの?」


と黒崎くんがいつの間にか隣にいて聞いてきた。


「ありませんけど。」


「へー、まぁそうだと思ったけど。
快斗と付き合おうとか考えたりすんの?」


「してませんけど。」


「………桜子ちゃん、俺となりにいるのに、はっきり言わないでよ…」


考えたことはない。
考えたことはない、けど………

この前、早坂さんとキスしてる大津くんを見て感じた感情を思うと、意識したらどんどんそっちに流されそうな気がして怖い。

暴走族を信じてしまいそうになる自分が怖い。


勉強を教えてくれる先生として、利用してるくらいがちょうどいいんだ。


「あ、桜子ちゃんここだよ。」


「………ここ?」


そこは私には絶対無縁なビリヤード専門店だった。
大きなガラスで外から店内が見える、おしゃれな雰囲気なお店だった。


「あなたたちがここで遊ぶの?」


「だったらわりーかよ。」


私の発言にいちいち突っかかってくる隼斗さんが、このお店には一番似合っていない。