それから私は大津くんに手を握られたので、そのまま一緒に会計にいくと本当に

「100円玉3枚、10円玉7枚、5円玉5枚、1円玉10枚でおつりちょうだい。」

と店員さんに言った。


「ん、桜子ちゃん12円のおつりね。」


「………すごい。」


「はは、そんなことないよ。
ただ単にみんなが頼んだメニューの金額を覚えてるだけ。」


「でも全部税抜き価格だったじゃないですか。
伝票も最後に税が足されてたし…」


「まー算数は俺の得意科目だしね。
行こ!」


几帳面な私は1円単位でしっかり払いたい人だから、きっとこういう人じゃないと私は付き合えない。
こういう人じゃないとご飯はいけない。

だけど、ここまで計算が速い人も初めて見た。
二人とかならまだわかる。
だけど6人分のおつりまで考えられるなんてね…

やっぱり私なんかとはレベルが違うんだなぁ……


「さーて、どこ行こっかな~。
桜子ちゃんはどこ行きたい?」


「どこでもいいです。
私友達いないのでわかりません。

普段皆さんはなにして遊んでるんですか?」


「俺ら~?なにかなー。」


「前はダーツにはまってたけど最近はビリヤードだな。」


と隼斗さんが教えてくれた。


「へー、隼斗さんがダーツ。
似合いませんね。」


「はぁ?」


「ゆっきーさんみたいな大人っぽいかたなら似合いますけど。」


「え?まじ?
やったねー。
隼斗ならなにが似合いそうなの?」


「ケンカとかかつあげとか。」


「………お前、俺にケンカ売ってるだろ。」


「嫌ならもっとまともな見た目にしたらどうですか?」


と私が嫌味を言ったところで


「いつもんとこいくぞ。」


と黒崎くんが歩み出した。