ご飯のあとは大人しく頭を下げて隼斗さんに科学を教わった。
そのあとは席替えをしてゆっきーさんに古文を、オチケンさんには世界史を。


「本当に皆さん教え方が上手なんですね。」


まだ15時。
今日は21時頃まで数学のテスト勉強をするつもりだったのに、六時間も少なく、しかも予定より三教科も多く。


「あれ、もう終わり?」


「はい、とりあえず。
みなさんの教え方が上手すぎて、私やることなくなってしまったので。」


「じゃあさ、遊びにいかない?」


「………遊びに…?」


いつもなら確実に断る。
だけど、今日は勉強すら終えてしまった。
もっとやればいいだけかもしれないけど……進みすぎてしまっても仕方ないから。


「なぁ蓮!いいよな!?」


「そうだなー。
まぁ桜子もせっかくおしゃれしてるしな。」


「やったね!!
ね、桜子ちゃん!行こうよ!」


「………わかりました。」


「やったね!!行こ!」


「快斗、金。」


「あぁ、はいはい。」


大津くんが立ち上がると、みんなが大津くんに千円札を出した。


「どうしてみんな大津くんに千円札を渡すのですか?」


「レジで個別に払うとダルいだろ。
かといって個々に小銭出すと、レジのやつが数えるのに時間かかる。
だから快斗に札渡しとけば快斗が頭ん中で計算して、小銭をぴったりみんなに渡るように店員に指示してお釣りをもらうんだよ。
一円玉は何枚で、みたいな感じでな。」


「俺暗算得意なんだよね~」


「だから桜子も札を出せよ。」


「あぁ、はい。わかりました。」


黒崎くんの説明に納得した私はみんなと同じように千円札を大津くんに渡した。
………にしてもすごいなぁ。
数学得意なだけあるね………