「でもさ、ボコボコにボコられるのと、禊で殴られるのとは全く別物だよ。
最後に総長が殴るんだけど、その時なんか痛いとかより、お世話になりました的な涙流しながら殴られて、頭下げるくらい。」


「でも、やり方が嫌でやめたい人が暴力振るわれるのが嫌で嘘つく場合はどうするんですか?」


「あー、昔そういうやついたんだけど、その時はそいつの妹を拉致った。」


「え…」


「嘘つく方が悪いからね。
蓮なんかそういうやつスゲー嫌いだから、蓮の代でそんなやつが出たら拉致だけじゃ済まされないだろうねー。」


「……どうしてそんなことするんですか?」


「裏切り者には制裁を。」


「………え?」


私と大津くんがずっと話していると、突然黒崎くんがまた発言をした。


「暴走族なんて社会のごみ的に思われることが多いけど、俺らは俺らなりに仲間意識があるんだよ。
入ったなら俺らはそいつのことを全力で信じるし、そいつに何かあれば俺らは全力で守る。
そんな俺らを裏切るなら、俺らは全力で制裁を加える。
それだけのことだ。」


「………そうなんですか。」


仲間意識、か………
そっか、それだけの制裁があると知っていながらここに入ってくる人たちは本気で仲間に入りたい人たち……
だからこの人たちも入ってきた人のことは全力で信用することにしてる、ってことか……


………なんか、やり方は汚いかもしれないけど、その心は素敵かもしれない。
入った人を全力で信じて、仲間だと思うこの人たちが……

最初から誰のことも信用しない私とは真逆で
私のないものをこの人たちは持っているんだと、改めて思った。