「いや、橙真が自分からギター弾くなんて珍しいなぁーと思って。」


「失礼だな。俺だって自分から練習くらいするさ。」


「そっか。ならいいんだけど…さっきまで出掛けてたし、なんかあったのかなと思って聞いてみただけ。」


「…別に何もないよ。」


鋭い質問にビビった。



言おうかなとも思った。


でも、蒼真には内緒にしておきたいと思った。



俺が見つけた"歌声"だから。



いくら仲が良くても、お互いを知っていてもあの子だけは知られてはいけない気がした。